2025.02.06
防音性の高い素材の選び方|快適な住宅を作るためにできる工夫とは

住宅で静かな環境を作るためには、防音対策が欠かせません。防音性を高めることは、住宅外の音を遮断して室内を静かにするだけでなく、住宅内の生活音や会話が外に漏れにくくなります。
防音性を高めるためには、壁や断熱材を厚くするだけでなく、防音性能に優れた素材を適切に選ぶことが重要です。
そこで、本記事では、住宅で使用される防音性の高い素材を紹介しつつ、選び方についても解説します。
記事の後半では、住宅の防音性を高める方法についても紹介しているので、これから住宅を建てようと考えている方や静かな住宅で生活したいと思っている方はぜひ最後までご覧ください。
1.防音性の高い素材の種類
防音性の高い素材は、主に以下の3つの種類に分類されます。
- 遮音材(音を通しにくくする)
- 吸音材(音を吸収して反響を抑える)
- 防振材(振動を軽減し音の伝わりを防ぐ)
遮音材(音を通しにくくする)
遮音材とは、音を遮ることで外部への漏れや侵入を防ぐ素材のことです。特定の周波数の音を遮断するため、音が漏れにくくなる特徴があります。
遮音材を使用することで、音の透過が少なくなり静かな環境になるだけでなく、断熱効果を向上するメリットがあります。一方で、コストが高くなる傾向にあり、施工も専門的な知識や技術が必要になる点もあるため、慎重に素材を選ぶ必要があります。また、音を跳ね返す性質があるため、場合によっては室内での反響が生じる可能性もあります。
代表的な遮音材として、以下のようなものがあります。
- コンクリート
- 鉄板
- 石膏ボード
- 遮音シート
- 遮音ウレタンフォーム
- 遮音カーテン
それぞれの素材により、遮音する音の周波数や施工方法が異なるため、部屋の用途によりどの素材を選ぶかを考える必要があります。
吸音材(音を吸収して反響を抑える)
吸音材とは、音を吸収して反響を抑える役割を持つ素材です。音を吸収することで防音効果を発揮するだけでなく、室内の音の響きを軽減するため、音楽スタジオや劇場などでも使用されています。
また、オフィスなどで吸音材を使用すると、会話などの反響音が少なくなるため、声が聞き取りやすくなるメリットがあります。ただし、吸音材は価格が高めで、定期的なメンテナンスが必要であったり、デザインが限られていたりなどのデメリットもあるので、目的に応じて素材を選びましょう。吸音材には以下のような種類があります。
- ウレタンフォーム
- メラミンフォーム
- グラスウール
- 天井バッフル
- ミネラルウール
それぞれの素材とメーカーにより吸音性能は異なるため、部屋の用途に合わせて素材を選ぶ必要があります。
例えば、部屋で楽器を使用したいのならば、吸音性能が高いファイバーグラスを使うなどが挙げられます。コストとのバランスを考えながら、空間に最適な吸音材を選びましょう。
防振材(振動を軽減し音の伝わりを防ぐ)
防振材は、振動を抑えることで騒音を軽減し、防音効果を高める素材のことです。床や壁などに設置して、足音の響きや外部からの振動を和らげる役割を果たします。また、洗濯機など振動を発生させる家電周囲に設置することで、機械による振動の影響を抑えられます。
ただ、一般住宅では防振材を使用していない場合がほとんどで、工場などの機械を用いる建物で使用されます。
代表的な防振材には、以下のような種類があります。
- ゴム製防振材
- シリコン防振材
- ウレタン防振材
2階建ての住宅を建てる場合には、1階の天井や2階の床下に防振材を使用することで足音の軽減になるでしょう。
防振材の導入を検討する場合は、住宅会社や専門業者に依頼して設置してもらう必要があります。
2.防音性の高い素材の選び方
防音材にはたくさんの種類がありますが、建物の用途に応じて適したものを選ぶことが重要です。選定する際には、以下のポイントを押さえておくとよいでしょう。
- 素材ごとの特性を把握する
- 使用目的に合ったものを選ぶ
- 予算から素材を選ぶ
素材ごとの特性を把握する
防音材を選ぶ際には、採用する素材の特徴を理解しておく必要があります。適切な選択をしないと、十分な防音効果が得られないだけでなく、かえって音の問題を悪化させることもあります。
例えば、室内でピアノなどの楽器を演奏する場合に、遮音材や防振材だけを使用すると、音の反響が強まり理想的な防音環境にならないことがあります。そのため、防音材ごとの役割をしっかり把握し、適材適所で活用することが大切です。
また、素材によっては耐火性が高いものと低いものがあるため、耐火性能についても比較すると良いです。一般住宅では、主に遮音材と吸音材が使われるケースが多いため、それらの特徴を理解しておくと選択の際に役立ちます。
使用目的に合ったものを選ぶ
防音材を選ぶ際には、防音の目的に応じて適した素材を選ぶことが重要です。
例えば、工場などの機械音や振動が気になる環境では、防振材を使用することで振動を軽減できます。このように、防ぎたい音の種類や発生源を考慮しながら素材を選ぶことで、より効果的な防音対策が可能になります。
さらに、防音材ごとに性能が異なるため、新築やリフォーム時には施工会社に防音の目的をしっかり伝えると、最適な素材を提案してもらいやすくなります。
予算から素材を選ぶ
防音材は、それぞれの素材により必要となるコストが異なります。遮音材、吸音材、防振材のコストは一般的に以下の表のようになります。
1平方メートルあたりの金額 |
|
遮音材 |
2000円〜5000円 |
吸音材 |
1000円〜3000円 |
防振材 |
3000円〜6000円 |
ただ、上記の金額は目安であり、素材によって性能が高いものなどは高価になるため、十分な検討が必要です。必要な防音性能と予算を比べた上で、どの防音材を選択するかもポイントです。
3.住宅で防音性を高めるためにできること
住宅を建てたり、リフォームする場合には、効率的に防音性を高める必要があります。住宅において防音性を高めるためにできることは、主に以下の3つがあります。
- 断熱材で防音する
- 窓周辺の素材で防音する
- 床の防音対策をする
断熱材で防音する
住宅で防音性を高めるためには、断熱材の選び方が重要です。質の高い断熱材は、住宅の断熱性能を高めるだけでなく、防音性も高いためです。
例えば、ウレタンフォームは断熱性能が高いだけでなく、吸音性の高いタイプもあり、断熱と防音の両方の役割を果たします。適切な断熱材を選べば、追加の防音材を使用しなくても済むため、コストも削減できます。
注文住宅のエソラでは、吹付ウレタンフォームを採用しており、高密度に施工することで、高断熱だけでなく、防音効果も期待できるような設計にしています。
ウレタン吹付断熱については、以下の記事を参考にしてください。
関連記事:ウレタン吹付断熱とは?使用するメリットとデメリットを徹底解説
窓周辺の素材で防音する
音が住宅に入り込む場所のほとんどが窓です。壁よりも窓ガラスは薄く、隙間もできやすいため、外の音が入り込んでしまいます。そのため、窓周辺の素材や施工を工夫することで防音効果を上げられます。
例えば、窓ガラスに複層ガラスを採用したり、カーテンを遮音カーテンに変更したりなどが挙げられます。窓からは音だけでなく熱も入り込んでくるため、断熱の観点からも防音の観点からも窓を工夫することは、快適な住宅を作る上で欠かせません。
床の防音対策をする
床の防音対策も住みやすい住宅を作る上で、大切なポイントです。
歩く時の振動やドアの開け閉めの振動は、音となり響いてしまうためです。特に2階建ての住宅の場合には、防音対策をしていなければ2階での足音は1階に響いてしまいます。
そのため、床に防振材を取り入れることで振動を軽減し、防音効果を高める工夫が必要です。手軽にできる対策としては、防振カーペットを敷くだけでも効果的なので、取り入れてみると良いでしょう。
4.まとめ
今回は、防音性能を向上させる素材について、種類から選び方を中心に解説しました。
防音素材には大きく分けて、遮音材・吸音材・防振材の3種類があり、住宅では特に遮音材と吸音材が多く使用されます。
どの防音素材を選ぶかは生活スタイルによって異なるため、希望する防音対策を住宅会社に相談することで、適切な防音材を選択できるでしょう。
また、住宅で防音性を高めるためには、適切な断熱材や窓ガラス、防振材を組み合わせることも有効です。音は生活する上でストレスにもなるため、事前に防音をしておくと、快適な住環境が実現できるでしょう。