2024.04.08
マイナス金利の解除が注文住宅に与える影響は?今後の住宅ローン金利の動向も踏まえて
住宅を建てる際に住宅ローンを使用する人がほとんどですが、その金額は大きく、利息だけでも数百万円になることも少なくありません。ここ数十年はマイナス金利の時代が続いたため、住宅ローンの金利は1%を切る銀行が少なくない状態でした。
しかし、2024年から日本もマイナス金利政策を解除し、金利が上昇する見込みです。金利の動向が住宅ローンに大きな影響を与えるため、これから住宅ローンを使用し住宅を建てようと考えている方は、金利の動向に注視する必要があります。
そこで本記事では、マイナス金利が解除されたことによって住宅ローンがどのような影響を受けるのか詳しく解説します。
記事の後半では、マイナス金利の解除後にすぐにでも住宅を購入したほうがいいのかについても触れているので、住宅ローンを使用しようと考えている方は参考にされてください。
▼目次
1.マイナス金利の解除で何が変わるのか
マイナス金利とは、日本銀行がデフレの脱却や物価の安定を目標にして、市場にお金が出回るように日本銀行と民間銀行にある金利をマイナスにする施策を指します。
日本銀行と民間銀行の金利をマイナスにすることで、日本銀行にお金を預けておくと利息が発生する状況を作り、日本銀行の口座にお金を預けさせず、民間銀行の融資や投資を促進させる狙いがあります。
しかし、2024年3月の金融政策会合でマイナス金利の撤廃が決定されました。この決定の背景には、将来的な賃金上昇や物価の安定が見込まれるという理由が挙げられます。
ただ、マイナス金利が解除されたからといって、すぐに利率を上げるわけではなく、現在のところはまだ緩和的な状態を維持する方針であるとされています。
マイナス金利が解除されると、国民に対する影響は主に以下の点が挙げられます。
- 銀行預金の利息が上昇する
- 国債の利回りが低下する
- 住宅ローンなど銀行からの借入金利が上昇する
マイナス金利の解除により、わたしたち国民だけでなく企業にも影響を与えるため、今後も金融政策における金利の動向はチェックしておく必要があります。
2.マイナス金利解除が注文住宅に与える影響は?
マイナス金利の解除による注文住宅への影響は、住宅ローンの利息が上がる可能性があるという点です。
住宅ローンには固定金利と変動金利があり、固定金利は決まった期間の金利が一定であるのに対して、変動金利は5年単位で金利が見直されて、金利に変動が生じます。
変動金利と固定金利については別記事「住宅金利とは?固定と変動の違い、金利の選び方を解説」で詳しく解説しています。
マイナス金利を解除し利上げが始まると、短期金利に影響される変動金利は上昇してしまうため、支払う利息が多くなってしまいます。
固定金利は長期金利に影響を受け、マイナス金利の解除以前の2020年頃から少しずつ上昇しており、今後も上昇していくであろうと予測されています。
固定金利も変動金利も、今後の利率低下の可能性は低く、むしろ上昇すると見込まれるため、住宅ローンを利用して住宅購入する場合には、計画的に返済ができるかどうかを検討する必要があるでしょう。
3.今後の固定金利と変動金利の動向
今後、住宅ローンを利用して注文住宅を購入する際には、固定金利と変動金利のどちらかを選択しなければなりません。
金利のタイプを選択する際には、今後の金利の動向を予測し、自身や家族のライフプランに合った返済が可能かどうかを慎重に検討する必要があります。
ここでは、固定金利と変動金利の今後の動向について説明します。
固定金利の動向
固定金利は住宅ローンの金利の一つで、あらかじめ決まった金利が一定期間続きます。政府が発行する10年間のお金を借りたときに支払う利子のことを長期金利といい、これが上がると、銀行は将来の金利が上がると予測し、住宅ローンの金利を上げることがあります。そのため、長期金利が上がると、固定金利の住宅ローンの金利も普通は上がることが予想されます。
日本銀行は長期金利の上限を0.25%から0.5%に引き上げているため、将来の金利が上がると思われます。他にも、経済活動が活性化され、企業や個人の資金需要が高まったり、国債の需要が減少し、国際価格が下落すると長期金利が上昇します。
固定金利は、世界情勢などの影響も受けて2020年頃から上昇に転じているのに加えて、日本銀行が長期金利の上限を引き上げていく可能性があるため、今後も利率が上昇していくことが予想できます。
変動金利の動向
変動金利の金利は短期金利の動きによって変わります。短期金利とは、1年未満の期間でのお金を借りたり貸したりするときの金利のことです。変動金利の金利は、この短期金利の動きに連動して上下します。つまり、短期金利が上がれば、変動金利も上がり、短期金利が下がれば、変動金利も下がるということです。
短期金利の上下は、無担保コール翌日物レートと呼ばれるものが指標となっています。銀行や保険会社などの金融機関が資金を貸し借りする際に担保なしで借りて、翌日に返済する際の取引で発生する金利を指し、日本銀行の政策金利や金融市場の動きに影響されます。そのため、無担保コール翌日物レートは短期金利の動向を表す大切な指標となっており、変動金利の動向を見る際には日本銀行の政策を注視する必要があります。
現在は、マイナス金利を解除しただけで、すぐに利上げを行うわけではないとされているので、今すぐに変動金利が上昇するとは考えにくいです。しかし、今後は利上げが行われる可能性が高いため、いつ変動金利が上昇してもおかしくない状況といえるでしょう。
もし変動金利を利用して住宅ローンを借りる場合には、金利が上昇しても返済できるであろう金額を計算しておく必要があります。
4.金利が上がると所得も増加する可能性がある
マイナス金利が解除され、今後利上げが始まると住宅ローンの金利が増加することは避けられません。
しかし、日本銀行や政府が金利を上げる際には、経済が潤っている、または潤うことが予想されることを確認した時ですので、所得も上がる可能性もあります。金利が上がっても所得が上がれば、支払う割合は大きく変わらないため、家計に対するダメージは少なくなる可能性はあります。
必ず所得が上がるわけではありませんが、ただ金利が上がって支払いが増えるだけではないことを知っておいてください。
5.マイナス金利が解除された後はいつ住宅を購入したらいい?
2024年以降でマイナス金利が解除され、金利が上昇する可能性があるなら、いつ注文住宅を購入したらよいか悩んでいる方も少なくないはずです。
マイナス金利が解除され、経済が活性化してくると利上げが始まり住宅ローンの金利が上がります。しかし、現在はまだ利上げが始まっていない状況です。
今後の利上げのタイミングは誰にも予測できない状態ですので、住宅を購入するなら可能な限り早い方が良いでしょう。
固定金利が少しずつ上がりはじめている一方で、変動金利はまだ低い利率を維持しています。ただ、将来的に変動金利が上昇する可能性があると考え、確実な返済計画を立てたいのであれば固定金利を選択するのもひとつの方法です。
住宅ローン金利の選択については、家族や住宅会社と相談し、無理のない範囲で借りられる金額にとどめておきましょう。
6.まとめ
この記事では、2024年3月に日本銀行が決定したマイナス金利の解除について解説し、住宅ローンにどのような影響があるかを紹介しました。
マイナス金利の解除は、今のところ住宅ローンの金利に大きな影響を与えていない状態ですが、今後、金利を上げる利上げが始まると、いつ金利が上がるかはわかりません。そのため、2024年現在で低金利の状況を活かし、住宅購入を考えている方は、はやめに住宅購入を検討しても良いかもしれません。
住宅ローンを借りる際には、利息を考慮した上で返済計画を立てなければなりません。しかし、金利は日本銀行や政府の政策に影響されるため、常に情報を入手できるように準備しておきましょう。
注文住宅のエソラでは、住宅ローンにおける金利の相談も承っています。これから住宅ローンを利用し、注文住宅を建てようと考えている方は、一度ご相談ください。
参考:【詳しく】日銀 マイナス金利政策を解除 異例の金融政策を転換|NHKNEWSWEB
2024年の住宅ローン金利見通しは今後どうなる?日銀の相次ぐ金利引き上げで長期固定金利は上昇、変動金利も銀行の運用方針転換で上昇も|株式会社ダイヤモンド社