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2024.11.06

  • 暮らしの講座

家の相続はどうやるの?流れと注意点を詳しく解説

両親が亡くなるか、生前に資産を贈与する際には家を相続する人も少なくないはずです。

しかし、家を相続する場合には、ただ不動産の名義人を変更するだけではなく、様々な手続きが必要になります。

また、財産を相続する際には税金も払う必要があり、忘れてしまうと余計にお金を払わなければならなくなる可能性もあるため、注意が必要です。

そこで、この記事では、家を相続する際の手続きの流れや税金の計算方法を中心に解説します。

記事の後半では、資産を相続する際に相談できる専門家についても紹介しているので、今後相続が必要な方はぜひ最後までご覧ください。

1.家を相続する時のおおまかな流れ

両親や親族から家を相続する際には、以下の4つの手順を踏みます。

家を相続する時のおおまかな流れ
  1. 相続人の確定
  2. 相続財産の調査
  3. 相続税の申告と納付
  4. 相続登記

それぞれのステップを一つずつ詳しく解説します。

1.相続人の確定

家を相続する際には、誰がその資産を受け継ぐかを決める必要があります。

親が亡くなり、遺言書がある場合には、遺言書の内容に従って相続人を確定します。遺言書がない場合には、配偶者や子供、両親、兄弟が法定相続人となり、法律に従って相続分が配分されます。

  • 第一順位: 配偶者と子ども(実子や養子、死産した子を含む)
  • 第二順位: 直系尊属(両親、祖父母など)
  • 第三順位: 兄弟姉妹(生存している場合はその子どもにも権利があります)

相続人を特定するためには、被相続人(故人)の戸籍謄本を取得するのが確実な方法です。また、認知されていない子どもや兄弟姉妹がいる場合も、相続人としての権利があるため、注意が必要です。

2.相続財産の調査

相続人が確定した後には、相続対象となる財産がどの程度あるか、どの財産を誰に相続するかを決定します。家のほかにも、以下のようなものが含まれます。

  • 不動産: 家や土地などの物件
  • 現金・預貯金: 銀行口座の残高や現金
  • 株式・債券: 証券や投資信託など
  • 動産: 車、家具、宝石などの有形財産
  • 負債: 借金やローン、未払いの税金など

記事の後半でも解説しますが、負債も相続対象となるため、詳しい調査が必要となります。

3.相続税の申告と納付

相続する財産を調査した後には、財産に合わせた相続税を申告し、納付する必要があります。相続税は、故人が残した財産に対して課税される税金です。相続人は、相続した財産の合計額から基礎控除を差し引いた金額に税率を掛けて相続税を計算します。

相続税の申告は、故人が亡くなった日から10ヶ月以内に行わなければなりません。さらに納付は申告と同時に行わなければなりません。

4.相続登記

不動産、特に家を相続する際は、名義人を変更する必要があります。相続登記を行うことで、相続人が正式に不動産の所有者として認められます。登記がなされないと、法律上の権利が確定せず、将来的に不動産の売却や処分が難しくなることがあります。

名義変更は管轄の法務局で相続登記を行わなければなりません。登記申請が受理されると、法務局から登記完了の通知が送付されます。この通知をもって、正式に不動産の名義が変更されたことになります。

相続登記には法的な期限はありませんが、相続開始から3年以内に登記を行わないと、加算税が発生する可能性があるため、できるだけ早めに手続きを進めることが推奨されます。

 

2.相続税の計算方法

家を含む財産を相続する場合、相続税がかかります。

相続税の額は、相続する財産の評価額や適用される税率により異なり、税率は約10%から55%の範囲で変動します。課税される資産の総額は、相続される財産の評価額から基礎控除額を差し引いた額で決まります。

課税価格(万円)

税率(%)

控除額(万円)

1,000万円以下

10%

0

3,000万円以下

15%

50

5,000万円以下

20%

200

1億円以下

30%

700

2億円以下

40%

1,700

3億円以下

45%

2,700

6億円以下

50%

4,200

6億円超

55%

7,200

さらに、相続人の人数に応じて控除額も変わるため、正確な金額を算出するためには、税理士に相談することをおすすめします。

 

3.家の相続手続きで相談できる専門家

不動産を含む財産を相続する際には、専門家に依頼するのが一般的です。専門家を利用しないと、トラブルが発生する可能性があるためです。相続手続きで相談する専門家として、主に以下の5つが挙げられます。

相続手続きで相談できる専門家
  • 弁護士
  • 税理士
  • 司法書士
  • 不動産鑑定士
  • 行政書士

それぞれの専門家に相続の際どのような依頼をするかを詳しく解説します。

弁護士

弁護士には相続に関してさまざまな業務を依頼できます。まず、遺言書の作成や検認のサポートを行い、法的に有効な形で遺言を残す手助けをします。遺言書が存在する場合は、その内容の確認や検認手続きも担当します。また、相続人の調査と確定を行い、誰が相続人であるかを明らかにする手続きも支援します。

さらに、相続人間での遺産分割協議において、合意を得るためのアドバイスや調整を行います。相続税に関しては、基本的な情報提供や税務署への申告方法についての助言を行います。不動産の相続手続きについても、名義変更や相続登記の手続きについてアドバイスをし、必要に応じて司法書士と連携して進めます。

最後に、相続人間でのトラブルや紛争が発生した場合には、弁護士が代理として交渉を行ったり、訴訟を提起することも可能です。このように、弁護士に依頼することで、法律的な知識に基づいた適切なサポートを受けられ、スムーズな相続手続きが期待できます。

税理士

相続税の計算を行い、どの程度の税金が発生するかを正確に算出してもらえます。相続税の基礎控除や各種控除を適用し、実際に支払うべき金額を明確にするための専門的な知識を持っています。

次に、相続税の申告書の作成も税理士の重要な業務です。故人が亡くなった日から10ヶ月以内に申告が必要な相続税について、必要な書類を揃え、正確な申告書を作成してくれます。また、申告に必要な資料の収集や整理を手伝い、煩雑な手続きをスムーズに進めることができます。

さらに、税理士は相続税の軽減策についてもアドバイスを提供します。遺産分割の方法や生前贈与、信託など、相続税を軽減するための戦略を提案し、クライアントが最適な選択をできるようサポートします。また、相続人の税務相談にも応じ、税務上のリスクや注意点について説明し、事前にトラブルを回避できるようにします。

司法書士

相続によって不動産の名義を変更する際、司法書士が必要な書類を作成し、管轄の法務局に登記申請を行います。必要な書類の確認や、相続人の確定に関する手続きもサポートしてくれます。

また、遺言書の作成やその執行に関しても司法書士に依頼することができます。遺言書が適切に作成されているかの確認を行い、必要に応じて法的なアドバイスを提供します。さらに、遺言の内容に基づく遺産分割協議の進行を手助けし、相続人間でのトラブルを未然に防ぐことができます。

司法書士は、相続手続きに関する法律的なアドバイスを提供することも可能です。特に、相続に関連する法律や手続きについての質問に答え、必要な情報を提供することで、クライアントがスムーズに手続きを進められるようサポートします。

このように、司法書士に依頼することで、相続に関する法律手続きが効率的に行われ、安心して相続手続きを進めることができるのです。

不動産鑑定士

不動産鑑定士には、相続に関する不動産の評価業務を依頼することができます。相続税を計算する際、相続財産の評価が重要であり、正確な不動産の価格を把握する必要があります。不動産鑑定士は、市場価値や収益価値を考慮し、専門的な評価手法を用いて不動産の適正な価格を算出します。

具体的には、土地や建物の査定を行い、その評価額を基に相続税の計算を行うためのデータを提供します。これにより、相続人は税額を正確に把握でき、適切な税務申告が可能になります。また、不動産の評価は、遺産分割協議においても重要な役割を果たします。相続人間での公平な分配を図るために、客観的な評価が求められることが多いです。

さらに、不動産鑑定士は、評価に関する証明書の発行も行います。この証明書は、相続税の申告や不動産の売却時に必要となることがあり、信頼性のある評価を提供することが求められます。

行政書士

行政書士には、相続に関するさまざまな手続きを依頼することができます。特に、相続手続き全般において必要な書類の作成や申請を行うことが主な業務です。相続人が誰であるかを特定し、その情報をもとに必要な書類を整える手続きをサポートします。

まず、相続に必要な遺言書の作成や、遺言執行者の選任に関するサポートが可能です。行政書士は、遺言書が法的に有効であることを確認し、必要に応じて遺言書の内容を専門的にアドバイスします。また、遺言の内容に基づく遺産分割協議書の作成も行い、相続人全員の合意を得た上で正式な文書として仕上げます。

さらに、相続税の申告に必要な書類の作成も行います。相続税の申告には、さまざまな書類が必要であり、行政書士がその作成を担当することで、スムーズな申告が実現します。また、相続人の戸籍や住民票の取得など、役所に対する手続きも代行することができます。

 

4.まとめ

今回は、家の相続について、流れと注意点を中心に解説しました。

家を含めた資産を相続する際には、相続人の決定から相続税の納付、不動産の登記などの流れを経て相続が完了します。

相続をする際には、相続税の金額や相続人の決定、負債の有無などに注意して慎重に手続きを進めていかなければなりません。

相続の手続きは、相続税の計算なども含めて複雑なものばかりなので、弁護士や司法書士、不動産鑑定士などの専門家に依頼することをおすすめします。

専門家に依頼することで、相続人間でのトラブル防止や節税の方法、相続後の不動産の活用方法などもアドバイスがもらえるため、可能な限り活用すると良いでしょう。