2024.11.07
工業化住宅とは?注文住宅との違いとメリット、デメリットを解説
住宅を作る際、以前は大工さんが木材を建築現場に運び、木を削ったり、形を整えて家を一から作る方法が一般的でした。しかし、現在の住宅は工業化が進み、家を作るための部品を工場で作成し、建築現場で組み立てる方法が普及し始めました。さらに、同じ部品を大量生産し、統一されたデザインの住宅を作ることでコストを抑えた住宅が増えつつあります。
工業化住宅は、コストが減る可能性があったり、品質が保たれやすかったりする一方で、デザインを自由に決められないなどのデメリットもあります。
そこで、本記事では工業化住宅のメリットとデメリットを解説しつつ、注文住宅との違いについても紹介します。記事の後半では、どちらを選べば良いかについても解説しているので、これから住宅を建てようと考えている方はぜひ最後までご覧ください。
1.工業化住宅とは
工業化住宅とは、住宅に使われる木材や部品を工場で生産し、建築現場で組み立てて家を完成させる方法を言います。工業化には、人の手を使って作業していたものを、機械や工場を使い大量生産へ移行する意味があります。
工業化住宅が広まる前までは、特別な技術を持った大工が各現場に必要でしたが、工業化することで工場や機械で作られた部品を組み立てる作業が主となり、大工の人手不足の軽減にも繋がっています。
工業化住宅と対比される注文住宅は、設計やデザインが人によって大きく異なるため、木材や部品をそれぞれで用意する必要があったり、特別なデザインの場合には特殊な技術を持った大工が必要になったりする場合があります。
工業化住宅と注文住宅でメリット、デメリットがあるため、それぞれを比較してどちらが良いかを検討しましょう。
2.工業化住宅のメリット
新築住宅を建てる時に工業化住宅を採用するメリットは主に以下の3つがあります。
- 工期が短い
- コストが削減される可能性がある
- 品質が一定に保たれている
それぞれのメリットを詳しく解説します。
工期が短い
工業化住宅の最大のメリットは工期が短いことです。工業化住宅で使用される木材や部品は、工場で大量生産されたものを使用するため、必要な部品を建築現場に運び、組み立てるだけで住宅が完成します。
建築現場で余計な工程を踏まなくても、ブロックのように部品や木材を組み立てて住宅を完成させるため、工期は短くなります。
コストが削減される可能性がある
工業化住宅は、機械や工場で大量生産された部品や木材を使用するため、人件費や材料費のコストが削減できる可能性があります。
注文住宅の場合には、特殊な技術を持った大工が必要で工期が長くなったり、手に入りにくい材料を使用したりする一方で、工業化住宅の場合には、建築するのに特殊な技術が必要なく工期が短かくなったり、材料費が増えたりすることはほとんどありません。
また、工業化されると品質も保たれているため、建築現場で手直しや修正が少なくなり、人件費の削減にも繋がっています。
品質が一定に保たれている
工業化住宅の場合には、同じ工場で部品や木材を大量生産するため、品質を一定に保てるメリットがあります。
使用する材料が業者ごとに違ったり、大工の技術に違いがあったりすると、住宅の品質は大きく変わってしまいます。
しかし、工業化住宅の場合には、使用する材料や部品が同じであり、組み立てる技術も大工によって差が生まれにくいため、品質は一定に保たれやすい傾向にあります。
3.工業化住宅のデメリット
工業化住宅にはメリットがある一方で、以下の2つのようなデメリットもあります。
- デザインが制約されている
- 余計なコストが発生する
工業化住宅は、事前に工場で大量生産された部品や木材を使用するため、住宅のデザインは制約されてしまいます。工場で大量生産される部品や木材は、使用する材料であったり、形や色であったりは全て同じになるため、デザインのバリエーションは減ってしまいます。
そのため、工業化住宅で家を建てた場合には、同一の住宅会社で建築した家は似たようなデザインになります。
また、工業化住宅の場合には、人件費や材料費のコストは削減される可能性がある一方で、運送費などの余計なコストが発生します。工業化住宅の中には、ユニットごとに工場で作成し、建築現場に運んで組み立てる家もあるため、輸送費は高くなります。
さらに、工業化住宅を採用しているメーカーが一般的に大手住宅メーカーが多いこともあり、TVコマーシャル等の広告宣伝費なども多くされているため、中小規模の工務店と比べ、価格は高い傾向にあります。
4.注文住宅のメリット
工業化住宅と比較するためにも、注文住宅のメリットとデメリットを理解しておく必要があります。注文住宅のメリットは、主に以下の3つがあります。
- デザインの自由度が高い
- 材料が選べる
- 愛着が湧く
それぞれのメリットを詳しく解説します。
デザインの自由度が高い
注文住宅の最大のメリットは、デザインの自由度が高いことです。注文住宅の場合には、間取りから色合い、形を全て一から決めるため、好きなようにデザインを変更できます。特に見た目がオシャレな家を作りたい願望がある場合には、工業化住宅よりも注文住宅を選ぶべきでしょう。
材料が選べる
注文住宅の場合には、デザインだけでなく使用する材料も自由に選べます。
例えば、床材をフローリングではなく、無垢材を使用するなど、好きな場所に好きな材料を使用できます。また、住宅の機能性を高めたい場合には断熱材を工夫したり、外張り断熱材を使用したりなどの工夫も注文住宅だからできるこだわりの工夫が可能となります。
細部までこだわった住宅を作りたい場合には注文住宅が最適です。
愛着が湧く
注文住宅の場合、間取りやデザイン、材料など一からすべてを好きなように決めることができるため、住宅が完成し、住み始めると愛着が湧きます。
愛着が湧くと、掃除やメンテナンスを欠かさず行うため、住宅をいつまでも綺麗に保つことができ、長く住めるようになります。
こだわりが詰まった分、住宅を大切にすることも注文住宅ならではのメリットと言えるでしょう。
5.注文住宅のデメリット
注文住宅にもメリットだけでなく、デメリットがあります。注文住宅の主なデメリットは以下の3つです。
- コストが高くなる
- 完成までに時間が掛かる
- 打ち合わせが大変
注文住宅は、部品や材料のすべてが注文となるため、コストが高くなりがちです。こだわる部分が多くなればなるほど、コストは上がってしまうでしょう。また、工期も長くなりやすいため、人件費も掛かってしまいます。
また、注文住宅は、一つ一つの住宅で作りが違うため、完成までに時間が掛かってしまいます。材料を建築現場で調整し、組み上げる必要があるため、時間を要します。
さらに、注文住宅の場合、住宅に必要な設計や間取りだけでなく、材料等まで指定する場合がほとんどのため、打ち合わせが長くなってしまいます。次々に決めなければならないことがあるため、ストレスに感じてしまう人も少なくないでしょう。
6.工業化住宅か注文住宅は、費用やこだわりから選ぶ
工業化住宅か注文住宅のどちらで建てようか悩んでいる方は、以下のポイントを抑えておくと良いでしょう。
- 予算内で収まるか
- 絶対に譲れないこだわりがあるか
工業化住宅も注文住宅もある程度のコストは発生しますが、注文住宅の場合、材料にこだわるとコストが高くなってしまいます。
可能であればどちらの設計も見積もりを算出して、比較すると良いでしょう。ただ、工業化住宅を採用していない住宅会社もあるため、注意が必要です。
また、一生に一度の買い物だから出来るだけこだわりたい方は、注文住宅で良いでしょう。注文住宅であれば、細かい部分まで好きなように指定出来るためです。
それぞれのポイントを比較し、どちらが適しているかを検討すると良いでしょう。
7.まとめ
今回は、工業化住宅と注文住宅のメリット、デメリットを解説しつつ、選び方について紹介しました。
工業化住宅は、工場で部品や木材を大量生産するため、工期が短くなるなどのメリットがある一方で、同じようなデザインになりがちなどのデメリットがあります。
一方、注文住宅は、細部までこだわった住宅が建てられるなどのメリットがある一方で、工期が長くなるなどのデメリットがあります。
それぞれのメリット、デメリットを理解し、比較した上でどちらを選ぶか検討すると良いでしょう。