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2023.03.28

  • 暮らしの講座

ZEH住宅とは?導入メリットと補助金制度を解説

ZEH住宅とは

新築住宅を建てようと情報を集めていると、「ZEH(ゼッチ)」という言葉を目にしたことがある人も多いはず。また、「ZEH」という言葉を聞いたことはあるけど、どのような家のことを指すのかわからない人も少なくありません。

ZEH住宅には光熱費を抑えられるだけでなく、快適な生活を送れる家であり、環境にも優しい特徴があります。

今回の記事では、ZEH住宅について概要を解説し、取り入れるメリットとデメリットを紹介します。

記事の後半では、ZEH住宅の補助金についても解説しているので、これから新築住宅を建てようと計画している方は参考にされてください。

 

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1.ZEH住宅とは

ZEH住宅とは、Net Zero Energy House(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)の略語で、高断熱の設備を導入した上で、太陽光発電によって住宅で消費するエネルギーを創出して、まかなう住宅を指します。

消費するエネルギー量を太陽光発電でまかなうためには、高断熱だけでなく、エアコンなどの設備も省エネルギーのものでなければなりません。

後述しますが、ZEHの住宅は、高断熱であるため、快適な生活環境を実現することにもなります。また、消費するエネルギーを太陽光で創出するため、環境にもやさしい住宅ともいえるでしょう。

 

2.ZEH住宅に必要な3つの要素

ZEH住宅の要件を満たすためには、大きく分けて以下の3つの要素があります。

ZEH住宅の特徴
  1. 創エネルギー
  2. 省エネルギー
  3. 高断熱


それぞれの要件は、ZEHの新築住宅を建てる上では理解しておかなければならない項目ですので、詳しく解説します。

創エネルギー

ZEH住宅とは

住宅で使用するエネルギーを自らまかなうためには、エネルギーを作り出す必要があります。そこで活用できるのが太陽光発電です。

ZEHの住宅では、太陽光を用いて発電する太陽光発電パネルを屋根に乗せてエネルギーを創出します。つくりだしたエネルギーはリアルタイムで消費するほか、蓄電池にためて夜の電力としても使用できるため、購入する電力量を抑えることにつながります。

住宅で消費するエネルギーをまかなうためには、ある程度太陽光が当たる場所に住宅を建てる必要があるでしょう。

省エネルギー

ZEH住宅とは

どんなに太陽光発電でエネルギーを創出しても、住宅で使うエネルギーが大きくなってしまうと、全てをまかなうことはできません。

そこで、ZEHの住宅では、断熱性能の高さやエアコンなどの設備を省エネルギーなものにするよう定められています。

住んでいる人がエネルギーを節約するわけではなく、日頃から使う設備に省エネルギーのものを採用するという考え方です。

高断熱

ZEH住宅とは

たとえ高性能な省エネエアコンなどの設備を使用していても、断熱性能が低ければ、熱が逃げてしまい消費するエネルギーが大きくなってしまいます。

そのため、ZEHの住宅では高断熱の断熱材や高断熱ガラスを使うように定められています。断熱性能が上がることによるメリットは主に次の3つです。

断熱性能が上がるメリット
  1. 冷暖房の効率が良くなる
  2. 冷房器具・暖房器具などの電化製品が長持ちする
  3. 建物内部の温度差が小さくなる


断熱性を高めるためにおすすめなのが、充填断熱の吹付工法です。断熱材が均一に密着するため、断熱性・気密性・防音性が向上します。

断熱性能については、別記事「住宅を高断熱にするメリットとは?2種類の断熱工法と合わせて解説」で詳しく解説しているので、参考にしてください。

 

3.ZEH住宅にするメリット

これから新築する住宅をZEH住宅にするメリットは主に以下の5つがあります。

ZEH住宅にするメリット
  1. 光熱費を削減できる
  2. 非常電力を蓄えられる
  3. 快適に過ごせる
  4. 補助金がある
  5. 資産価値が高くなる可能性がある


それぞれのメリットについて簡単に解説します。

1.光熱費を削減できる

ZEHの住宅は、太陽光発電で消費するエネルギーを作り出すため、基本的には光熱費が掛からない設計になっています。

しかし、悪天候が続くとエネルギーを創出できないため、光熱費が掛かる場合もあります。そのために太陽光で発電した電力をためておける”蓄電池”が必須になっているのです。

2.非常電力を蓄えられる

ZEH住宅の場合、もし災害により停電してしまった場合にも、太陽光のエネルギーを使用するため、電気に困りません。緊急時にすぐ電気が復旧しないと、人は不安が増幅し、心理状態が不安定になります。そんな時にでも自宅で電気を作り出す力があれば、不安は軽減されるでしょう。

蓄電池は容量の異なるものが各メーカーから販売されていますが、どの蓄電池でも満充電状態で1日〜数日の電気を賄うことができます。つねに1日分の余剰充電があると考えられれば、安心して生活できるでしょう。

3.快適に過ごせる

ZEH住宅は高断熱で設計する条件があり、高断熱住宅は暑い夏でも寒い冬でも快適に過ごすことができます。外気温に影響を受けにくくなるため、外から帰ってきたときにも、快適な温度を保ってくれています。

さらに、室内の気温差が生じにくいため、ヒートショックなどの健康被害の予防になるのもメリットの一つです。

4.補助金がある

ZEH住宅を建てた場合には、後述する「ZEH支援事業」という補助金制度を適用できます。

太陽光発電を使ったり、省エネルギーの設備を導入したりと、普通の住宅を建てるよりも条件は厳しくなってしまいますが、補助金制度があるため費用負担を軽減してZEH住宅を建てられます。

5.資産価値が高くなる可能性がある

ZEH住宅は高性能なつくりが保証されているため、資産価値が高くなる可能性があります。

なぜなら、自分たちで消費する電力を作ることができるため将来的なエネルギー費用の上昇に対応できること、省エネ性能に優れた住宅であるためエネルギー効率が高く、電気代やガス代などの光熱費が安く抑えられることなどから、長期的には資産価値が高くなる可能性があるといえるからです。

 

4.ZEH住宅にするデメリット

ZEH住宅を建てる場合には、メリットだけでなくデメリットもあります。デメリットは主に以下の3つです。

ZEH住宅のデメリット
  • 導入コストが掛かる
  • メンテナンスが必須
  • 天候による電力確保


デメリットを理解した上で、ZEHの住宅を選ばなければ後悔してしまうため、悪い部分にも目を向けておきましょう。

導入コストが掛かる

ZEHの住宅には、太陽光発電や省エネルギーの設備、高断熱の断熱材や建築材料を使う必要があります。断熱材は主に繊維系、発泡プラスチック系断熱材、天然素材系の3種類の素材が使用されており、それぞれの性能・価格が異なります。

高性能な家を追求していけば、満足のいく暮らしやすい家になるでしょう。しかし、高性能な家はすなわち設備にお金がかかっているわけで、どこを妥協点とするのか、いくらまでの予算で考えておくのかが事前準備として重要になります。

ただし、ZEH基準を満たした創エネ・省エネのできる家ができるため、ランニングコストが抑えられ、長い目で見ると投資するべき項目とも言えます。料金シミュレーションをすることでおおよそのランニングコストがわかるので、住宅メーカーなどと相談して選んでいきましょう。

メンテナンスが必須

太陽光発電のパネルや設備は設置したらしっぱなしではいけません。基本的に電化製品と同じであると考えた方がいいため、定期的にメンテナンスをする必要があります。

もし、太陽光パネルの上に埃や砂が溜まってしまえば、熱交換効率が落ちてしまうため、最大限のエネルギーを創出できなくなるでしょう。また、台風により太陽光パネルが損傷する場合もあります。

どのようなメンテナンスが想定されるか、事前に住宅会社と相談しておきましょう。

天候による電力確保

太陽光発電を使用して消費するエネルギーをまかないますが、梅雨などの悪天候が続く時期には、エネルギーが創出されにくいのもデメリットです。創出するエネルギーが少なくなってしまうと、電力会社から買うエネルギー量も多くなってしまうため、光熱費がかかってしまいます。

そこで蓄電池の出番です。蓄電池の導入はZEH住宅の条件に必須ではありませんが、太陽光でつくった電力を保管し、日の出ていない雨や夜間に消費することができます。これもシミュレーションすることで蓄電池を使った方がいいのかなどは想定できるため、相談してみましょう。

さらに東京都では、大手ハウスメーカー等が施工する小規模な新築住宅に対して太陽光パネル設置を義務づける条例が成立しています。非常時にライフラインが復帰するまでは、自分たちで電力を賄ってくださいといっているようなもので、これから全国的に太陽光パネルの設置は標準化されていくでしょう。

 

5.ZEH住宅に対する補助金制度

ZEH住宅とは

ZEH住宅を建てる際には、主に以下の補助金制度があります。これまで実施された4つの補助金制度を紹介します。

  • 環境省が管轄する「ZEH支援事業」「ZEH+支援事業」
  • 経済産業省が管轄する「次世代ZEH+(注文住宅)実証事業」「次世代HEMS実証事業」

 

 

対象

補助額

追加補助

ZEH支援事業

・ZEH
・NearlyZEH
・ZEHOriented

1戸あたり55万円

蓄電システムの導入で2万円/kwh、補助対象経費の1/3または20万円のうちいずれか低い方

ZEH+支援事業

ZEHの条件プラス

・さらなる高断熱化
・高度エネルギーマネジメント
・電気自動車(PHV車)の充電設備

1戸当たり100万円

・蓄電システム:2万円/kWh、補助対象経費の1/3または20万円のいずれか低いほう
・直交集成板:1戸あたり90万円
・地中熱ヒートポンプシステム:1戸あたり90万円
・PVTシステム(液体型):65万円または80万
・PVTシステム(空気型):90万円
・液体集熱式太陽熱利用温水システム:12万円または15万円

次世代ZEH+(注文住宅)実証事業

ZEH+の条件プラス

・蓄電システム
・V2H充電設備(充放電設備)
・燃料電池
・太陽熱利用温水システム
・太陽光発電システム10kW以上

1戸当たり100万円

・蓄電システム:2万円/kWh、補助対象経費の1/3または20万円のいずれか低いほう
・燃料電池:1台あたり2万円
・V2H充電設備(充放電設備):補助対象経費の1/2または75万円のいずれか低いほう
・太陽熱利用温水システム(液体式):1戸あたり17万円
・陽熱利用温水システム(空気式):1戸あたり60万円

次世代HEMS実証事業

ZEH+の条件プラス

・蓄電システムまたはV2H受電設備(充放電設備)のいずれか
・AI、IoT技術などを行う仕組みを備える

1戸あたり112万円

・蓄電システム:2万円/Kwh、補助対象経費の1/3または20万円のいずれか低いほう
・燃料電池:1台あたり2万円
・V2H充電設備(充放電設備):補助対象経費の1/2または75万円のいずれか低いほう
・太陽熱利用温水システム(液体式):1戸あたり17万円
・太陽熱利用温水システム(空気式):1戸あたり60万円

現在公募されている補助金制度はありませんが、2023年も公募される可能性はあります。公募されたときに備えて、今から情報収集するのがベストです。

ただ、補助金制度を利用する際には、以下のような注意点があります。

ZEH住宅補助金の注意点
  • 補助金申請後の設計変更ができない
  • ZEHビルダーに登録してある建築会社を選ぶ
  • 補助金申請が先着順


それぞれの注意点を簡単に解説します。

補助金申請後の設計変更ができない

ZEHの補助金制度は、補助金を申請した後には、住宅の設計を変更できません。設計を変更してしまうと、ZEHの要件を満たさなくなる可能性があるためです。

そのため、補助金を申請する前に、後悔しない設計にしておきましょう。

ZEHビルダーに登録してある建築会社を選ぶ

建築会社は、ZEHビルダーに登録しておかなければなりません。ZEHビルダーとは、ZEHの受注数を2020年までに50%以上にすると宣言したり、公表したりした事業者です。

もしZEH住宅を建てたいのであれば、契約を結ぶ前にZEHビルダーであるか確認しておきましょう。

補助金申請が先着順

「ZEH支援事業」の補助金は、申請したすべての人が貰えるわけではなく、先着順となります。

補助金制度の予算が尽きてしまうと、補助金を受けられなくなるので注意が必要です。

 

6.まとめ

今回は、ZEH住宅について、概要からメリット、デメリットについて解説しました。

ZEHの住宅は、住宅で消費するエネルギーを太陽光発電のエネルギーでまかないます。そのためには、省エネルギーの設備や高断熱の建築材料を使用する必要があることを理解しておきましょう。

ZEH住宅は、環境にもやさしいため、地球のためにも快適な生活を送るためにも、より良い選択となるでしょう。これから新築住宅を建てようと考えている方は、ZEHの導入を検討してみてください。

 

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